ある柔道整復師の先生が海外で行われた人体解剖実習に参加された時のお話しです。

その先生は、カイロプラクティックも行っている先生のようですが、今回ある目的を持って実習に参加されたとの事でした。

それは、

「仙腸関節が動くかどうか?」だったそうです。

骨盤調整と称して施術を普段しているようで、今まで仙腸関節は10度ほ動くと認識し、ズレや歪みを治すという趣旨の元に施術を行っていたようですが、

今回の実習で全てが覆されたと自身のSNSに勇気ある告白をしておられました。

実習では、これを検証すべく、仙腸関節を動かそうとしたが全く動かず。腸骨と仙骨の境すらよく分からず、最終的に大人数人で力ずくでやっと剥がれた(動いたというより壊れた)という結果だったことを告白しています。

以前別の先生も(かなり有名な先生)同じような内容の事を言っており、その時は力ずくで剥がそうとして結局、仙腸関節はそのままで腸骨が壊れたそうです。

前者の先生は、今回の検証を受けて自身のSNS「仙腸関節は動かなかった」とショックを隠し切れない様子でした。つまり、仙腸関節が動かないということは、骨盤は動かないということであり、もちろん動かないという事は歪まないということです。

先生は、今までやっていた骨盤調節なるものは何だったのか?と自身の施術方針を根底から考え直すきっかけになったようです。

以前から言っているように、骨盤は強固に靭帯によって結合されていますので動いたり通常歪んだりしません。(女性は出産の時にホルモン作用により若干緩むとされていますがわずかです。)

よく、骨盤の歪みで足の長さが左右違うなどと説明し、骨盤調節なる施術後に同じになったとする話がありますが、これもはっきり言うと嘘です。見せ方です。仰向けで寝ている人の足の置く場所で長さが違って見えたりするわけです。悪質な先生は、それを知っていてわざと長さに違いがで場所に足を置いたりするわけです。ひどいですね。

実際に足の長さが違う方もいます。それは、生まれつきのものだったり、大腿骨頸部(股関節の部分)の骨折や人工関節を入れたことにより、長さが違う場合があります。つまり、施術で戻ったりするものではありません。

当然、当院ではそのよな根拠のない施術はしておりません。

骨盤調整なる施術でケガをしたという相談が消費者庁には多く寄せられ、消費者庁がHPに注意喚起をするということも起きています。ただ、注意喚起の内容が、国家資格の無い者が施術している所に行かないでくださいとのものでした。しかし、現実は国家資格を有している者もこのように骨盤調整などと称して根拠の無い施術をしている場合もあるのです。とても残念なことです。

今回の先生の勇気ある告白に敬意を送りたいと思います。

我々は、国家資格を保持している医療人です。浅はかな考えで根拠のない施術をしてはいけないのです。

今週末に新潟から接骨院の先生が私の技術を学びたいと当院を訪ねて来られます。私も正しい施術・技術・知識をしっかり伝えていきたいと思います。